2008-12-12

魚ふじ

 バイクのメンテナンスで神保町に行ったついでにずっと気になっていた「魚ふじ」でランチ。入りにくい佇まいだが思い切ってガラス引き戸を開ける。
 横の格子戸から入って行くと二階の座敷に上がれるようだ。
 引き戸の中は6、7人が座れるカウンター席と天ぷら鍋だけ。このカウンター席が真っ白に磨き上げられている。
 座った席がカウンターの一番奥だったのでイヤでもカウンターの中が見えてしまった。磨き上げられているのは檜のカウンターだけではなく足元のスノコから天ぷら鍋、食器戸棚まで何処から何処までがピカピカに磨き立てられていて清々しい(後ろ姿は食器をとりに出てきた大女将らしい)。
 ランチタイムだけのメニュー『かき揚天丼』を注文する。1150円。網目模様の気持ち大振りな茶碗にちょうど良い厚さと大きさの掻き揚げが載っている。
 掻き揚げはカリッとしているのに口の中で優しい。具の甘みを殺すことのないタレは白飯に絡んでもサラッとしている。
 ガラス引き戸を開けて中に入ったとたんに、カウンターの中から店主にギョロリと見つめられたような気がして少しばかり居心地が悪かったが、勘定を済ませて店を出るときに「ぜひまたお越しくださいまし。」と古風な言い回しで声をかけられた。
 この一言で、今度は贅沢をして「天ぷら定食」を注文してみようという気になった。