2017-02-25

あの手、この手

一年経つのは早いもんだ、と月並みを呟いて「あの手、この手」と冠した阿佐ヶ谷美術専門学校の卒業制作展へ(2月26日まで)。



今年心に引っ掛かった作品は「江ノ電15駅のポスター」。
文字遣いなど気になるところはあるが原文のまま紹介させて頂く。
作者がいなかったので、ここで紹介する許可はとっていない。

ENODEN
15の、ものがたりがある。
伊藤里彩(グラフィック・デザイン科)



No. 1 鎌倉
『海を思い出したのは、1時間前。』
本当です、新宿から一時間程で来られます。休みの日に遅く起きて、突然、「あ〜海見てえ」とか思っても可能です。多分、それが鎌倉という街の魅力のひとつなのかも知れません。

No. 2 和田塚
『まっすぐ、まっすぐ、行けばいい。』
この駅はびっくりするくらい線路が近いです。
というか線路の上を跨がないと、向こう側に行けません。このまっすぐなレールを見たら絶対に写真撮りたくなります。絶対。

No. 3 由比ヶ浜
『みず色とキラキラ、それだけ。』
わたしは海水浴をしないので夏は絶対に近づきません。人がこわいです。でも夏目漱石の「こころ」にも書いてある様に『黒い顔でごちゃごちゃしていることもあった。』そなので、仕方ないなって思ってます。

No. 4 長谷
『潮のにおいで、たどり着ける。』
小さな路地がたくさんあって、なんの当てもなく歩くのが楽しいです。是非散歩してみてください。この写真は有名店、「カフェ坂の下」を出たすぐの所からの景色です。

No. 5 極楽寺
『目に刺さる青、胸には赤。』
関東の駅100選に選ばれている駅です。でも私には駅前の景色よりも、極楽寺までの道のりにあるこの赤い端と売店が好きです。

No. 6 稲村ヶ崎
『青に変わるまでの、そのあいだ。』
駅から少し歩くだけで、向こう側に海が見えます、サーファーが多い静かめな海岸。
信号待ちがこんなにときめくなんて、東京じゃ中々体験できないことだなって思います。

No. 7 七里ヶ浜
『防砂壁はせかいいちのベンチ。』
私が江ノ電で一番好きな駅です、七里ヶ浜駐車場の防砂壁は色んな人が腰掛けて海をながめています。とんびの鳴き声と海の波の音だけで他は何もいらないわって感じになります。

No. 8 鎌倉高校前
『ゆれる、波と制服のスカート。』
駅のホームから海が一望できる最高の場所です。地元の高校生がたくさん歩いているけど、みんな潮風で前髪がバリバリになってます。特の女の子は大変そうだなって思って見てます。

No. 9 腰越
『まがっても、抜け出しても、走ってゆける。』
江ノ電は腰越から次の江ノ島の間だけ路面を走ります。高まります。車と同じ道路を走っているので、普通に江ノ電の目の前を自動車が追い越していくことが多くてびびります。

N0. 10 江ノ島
『息を切らして、息を飲んだ。』
わたしはエスカーに乗ってしまうことが多いけど、ぜひ階段を登ってみてください。ハッとする景色に会えるし、息を切らすと美しさも二倍になる気がします。でも夏はやっぱりエスカー。

No. 11 湘南海浜公園
『太陽が肩に落ちるまで。』
ここからはこれといった観光地もなく普通の住宅街になります。海の方まで少し歩いているとこのベンチがある、お散歩コースに着きます。
犬の散歩とか親子がグリコしながら帰ってたりします。ヘーベルハウス並んでますね。

No. 12 鵠沼
『ライターに火を付けて、あと数分。』
降りる人はほとんど、地元の方達です。ここは駅を出たすぐの売店で、この番犬のおじいちゃんチワワはいつもべろが半分出てます。

No. 13 柳小路
『迷子なのに、なつかしい。』
ここはもう、地元の方々の聖域なので、あまりカメラ持ってうろうろすべきじゃないですね。
帰りましょう。あと、あんまり歩くと迷います。

No. 14 石上
『遠くじゃなくていい、少し先まで。』
あと一駅で江ノ電が終わります。わたしはちょっと寂しい気持ちになります。でもここも地元の方の静かな住宅街です、帰りましょう。

N0. 15 藤沢
『響くアナウンス、かばんを背負いなおす。』
小田急や都会と繋がる藤沢駅。私はいつも藤沢経由で帰るのでこの駅のホームに立つとシャンとします。帰るぞって。

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