2009-02-09

JEPA 2月度定例会

 電子書籍ビジネスが期待されて久しいが未だにこのビジネスが離陸したとは言い難い。日本電子出版協会(JEPA)の2月度定例会でPDF(Portable Document Format)にDRM(Digital Rights Management)を組み込んだコンテンツの流通方法が紹介された。これだけでは電子書籍にコピープロテクトのためにDRMを付加した従来のコンテンツと変わらないのだが…。
 今までの電子書籍は紙の書籍の流通をなぞった方法でこれが普及の妨げになっているとスピーカー氏は指摘する。紹介された方法はアプリケーションソフトウエアのトライアル版をばらまくのに似ている。料金を払ってアクセスキーを入手すれば手元のトライアル(立ち読み)版がフルバージョンになるという発想と同じだ。
 立ち読み版のコピー・配布は自由だという。ただし、フォーマットがPDFというのが引っかかるところだ。ページを拡大表示したときに画面に表示しきれていない部分を読むためにスクロールすることになるはずで、一行ごとにこれを繰り返すというのはモノを読む方法ではない。やってみれば一目瞭然説明不要だ。
 この辺りへの対応は「TTVブックリーダー」を利用するTextベースコンテンツの方がいいと思うが、ビジネスモデルを考えると簡単に結論は出ないのだろう。だからこそ未だに電子書籍ビジネスが離陸できないでいるわけだが。
 もう一つ紹介されたのが合成音声によるテキストの読み上げ。アメリカのオバマ新大統領の就任演説を使ったデモを聞いたが完成度は大変に高く極めて自然話に近い。
 説明によるとサンプリングした音声を音節ごとに分解しラベルを付けてデータベース化しておく。読み上げテキストは解析した後に韻律予測辞書・音声単位選択・波形接続というプロセスを経てデータベースから抽出した音節を繋げる。
 既にE-learningやホームページ読み上げサービスなどに利用されているということだった。