テーマに惹かれてACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)の主催になるフォーラム『この先にある本のかたち』に出席した。
1998年10月に発足、2000年1月に幕を閉じた「電子書籍コンソーシアム」の活動以来、書籍出版の電子化に必要なフォント(文字)で浅からぬ関わりを持ってきた者にとって外せないテーマだったが、あいにく電子書籍の目に見える具体的な形に対する提言に触れることができなかった。
しかし、電子書籍普及を促進するための法の整備や書籍の電子化とその利用に対する国民のコンセンサス形成、インターネットの利用といった電子書籍が普及してゆくために必要な環境に対する、今まで目を向けたことのなかった考え方を知ることはできた。
写真は今回のフォーラムをコーディネートした岡本真氏(ARG)、基調報告をした長尾真氏(国立国会図書館館長)と司会の内田麻里香氏(東京大学工学部)。
下の写真は指定討論を展開した金正勲氏(慶應義塾大学)、津田大介氏(ジャーナリスト)、橋本大也氏(ブロガー)。
金正勲氏からは、韓国で9年前から著作権(著作者・コンテンツ)保護のために図書館保証金制度が導入されているという紹介や、それに伴う日本とは異なる公共図書館の著作権への対応も論じられた。日本の現状はOpt-In(事前許諾)だが、電子図書館の普及にはOpt-Out(事前許諾不要)を推進すべきではないかとの投げかけもあった。
津田大介氏の『出版社の機能、編集者の存在意義を見直そう』という趣旨の発言は、必ずしも執筆者だけでよい出版物が作られるわけではないという執筆者サイドからの強いメッセージに聞こえた。これはアナログ出版であれデジタル出版であれ変わらないことだろう。