2009-08-13

怪談乳房榎

 来年4月で閉館する歌舞伎座。その歌舞伎座さよなら公演「八月納涼大歌舞伎」の最終幕は三遊亭圓朝の怪談噺「乳房榎」。馴染みのない外題だが「牡丹灯籠」や「累ヶ淵」と並ぶ圓朝の傑作の一つだそうだ。
 川畑さんのお声掛かりで出かけたのだが会場前で合流するはずの彼女とその友人達には会えなかった。一幕見席で¥1,200。
 中村勘三郎演じる一人三役、絵師 菱川重信、下男正助、蟒三次の早変わりを楽しむ。最後の幕は大量の本物の水(本水というようだ)を使った滝の場面で、この幕が開くと場内がどよめいたほどの迫力だった。
 早変わりの圧巻は最後の滝の場面で蟒三次と下男正助の大立ち回り。蟒三次も下男正助もここまで勘三郎が早変わりで演じているが最後に二人が並ぶ。もちろん常にどちらかが代役なのだが『今はこちらの役が勘三郎だぞ。』と思いながら舞台を追う。
 最後に滝の前で力尽きて倒れたのが勘三郎演じる蟒三次、赤子を抱いて花道に向かう代役の下男正助。その下男正助が花道にかかるところで最後のせりふを言うのだが、これがなんと勘三郎だった。
 場内は滝の幕が開いたときよりもさらに大きなどよめきと大喝采。何時すり替わったのか誰も気づかなかったようでイリュージョンを見ているようだった。
 「怪談乳房榎」については「はなしの名どころ」と「板橋区の公式サイト」に詳しく紹介されている。
 舞台の写真撮影が御法度と言うことで、あいにくだが芝居の写真はない。