会場は飯田橋のモリサワ東京本社9階ホール。


「女書 (Nushu)」とは中国湖南省江永県の一部に住む謡(やお)族の女性だけが読み書きする女文字のこと。
遠藤さんが1993年に北京で初めて女書に出会ってから今日までの研究成果の一部を紹介してくださった。

女書が生まれた背景には、この地方特有の風習「結交姉妹(けっこうしまい/血縁のない二人以上の娘達が義理の姉妹となること。実の姉妹以上に強い絆で結ばれるという)」や、嫁ぐことは不幸であるという結婚観、徹底した男女の役割分担・分業、豊かな農作物をもたらす自然環境、漢民族と謡族が混在して暮らす地域であったこと、などなどがあるという。
スクリーンは遠藤さんが調査に訪れた村の様子。


そんな花嫁に結交姉妹や母、おば、実の姉妹などが冊子を手作りし、女書で歌を書き添えて結婚三日目に贈るのが「三朝書(さんちょうしょ)」で、新婦にとっては非常に大切なものなのだという。

女書の最後の伝承者* と言われる何さんだが、さっそく女書を書いて見せてくれた。


女書は七言絶句や五言絶句のような詩の形式と密接に結びついたもので、日常のメモや書き付けには用いられないという。

上位手巾尺五長
為的四辺大姉妹
大姉有歌応該唱
不要妹娘起歌声
何艶新書
為的四辺大姉妹
大姉有歌応該唱
不要妹娘起歌声
何艶新書
中国語ネイティブにこの詩を見せたが、標準中国語とは異なる表記らしく、何を詠んでいるのかよく分からないようだった。詩の大意は推測も交えて、多分こんなものだろう。
『高く掲げたハンカチは五尺の長さ 姉妹達が回りを囲む
姉達は唄を歌うべき 妹の母は歌声を求めず 何艶新 書』
姉達は唄を歌うべき 妹の母は歌声を求めず 何艶新 書』
* 何艶新さんは漢字教育を受けた世代だが、子供の頃、結交姉妹達と女書で詩をやりとりをした祖母から女書を教えられたという。伝統的な環境で女書を身につけた人で現在も健在なのは何艶新さんお一人と考えられている。近年になって養成された継承者は5、6 人いるという。
最近「女書」に関する翻訳をしました。「女書」の存在は今まで知りませんでしたが興味がありますので、勉強をしたいと思います。中国(江南省)昔の女の人は賢いと思います。そして、「男尊女卑」の世界では、女の人の苦しさを感じました。。。
返信削除