私達三人ここでは明らかに部外者だとザラザラした周囲の空気が告げてくる。斉藤さんは慣れたものでこの緊張感を楽しんでいるようだ。斉藤さんが知る東日本で一番のスーパーディープ(超深)な立ち呑みスポット探訪だった。
 寿町から横浜駅西口前に移動。香川県丸亀市に本店を置く「骨付鳥 一鶴」も斉藤さんお勧めの店。丸亀の本店で骨付鳥に出会い惚れ込んだという極めつきの一品がこの写真。持てないくらい熱いスチール皿に油に浸ったもも肉が載っている。塩、胡椒、ニンニクで味付けされたもも肉の外側はパリパリ、中の肉はフワフワ。写真は肉が軟らかく初心者向きの「ひなどり」(¥870円)。
 この後「おやどり」に挑戦(¥980円)。こちらも見た目は同じだが肉はしっかりとして歯ごたえがあり噛むほどに旨みが滲み出てくる。ナイフとフォークの提供はなく骨を持ってかぶりつくのが骨付鳥の正しい食べ方だそうだ。「ひなどり」と「おやどり」を比べればやっぱり「おやどり」だろう。忘れてならないのが「しょうゆ豆」。そら豆の佃煮(?)だが未体験のほのかな香りと甘みがビールにぴったりだった。
 〆にこれだけは外せないという「とりめし」と「鳥スープ」。「とりめし」は炒飯のような感触だがれっきとした炊き込みご飯。鳥の旨みが優しく炊き込まれておりパンパンになった腹にもすんなりと収まってしまった。「鳥スープ」は濃厚な鳥のエキスが塩味で程よく整えられている。この中に餅を入れればそのまま我が家の雑煮になる一椀だった。