取り壊しの話が持ち上がっているはずの木造三階建ての下宿屋「本郷館」、建物は健在だったがさすがに今は誰も住んでいない。門柱に渡された鎖で小さな『立ち入り禁止』と『見学禁止』の札が揺れていた。
本郷館の前を下って行くと旧田町通り(現在は地下に南北線が走っている)に出るので白山通りに向かって左折する。菊坂下まで坂道を下りると豆腐屋の真向かいで、ここも子供の頃から変わらない「石井いり豆店」が戸を開けていたので覗いてみた。
店内は豆を煎る炉の熱で熱いくらい。奥から顔を出した店主に訊くと四代目で、真砂小学校の卒業だという、我が後輩というわけだ。旧田町通りにあったあちらの店こちらの店の消息を伺いながら、かつての我が同級生の様子なども尋ねてみた。四代目とは歳が離れすぎていて(こちらが上過ぎて)共通の知人を見つけることができなかった。
仕事の手を止めさせてしまったが四代目はいやな顔をせずに相手をしてくれた。
0 件のコメント:
コメントを投稿