パソコンの刺繍パターン作成ソフトと連動する多頭式コンピューターミシンと職人技が要求される手動の横振りミシンが並ぶ貴重な刺繍工房だ。
多頭式コンピューターミシンに刺繍のパターンを送るソフトウエアはごく普通のパソコンだった。
初めて見る多頭式コンピューターミシンは、一つのパターンを一度に多数の生地に打ち込むことができる。生地を固定する台の動きが面白い。
工房の一角に飾ってあったサンプル。企業のロゴ、クラブのマーク、ワッペンなどなど、このボードを見ているだけでも楽しい。
横振りミシンで紙に文字を書くように刺繍して行く宮崎工装社代表・宮崎常彰さん。
もちろん生地に下書きなど無い。伺うと文字の形や大きさは頭の中に入っているとのこと。生地から文字が浮かび上がってくる様子は神業だ。左右に振れる針が筆になって生地に文字を書き込んでいるのかと錯覚する。
このミシンを使いこなせるようになるまでに10年掛かるとのこと。今は横振りミシンを扱える人が数えるほどになってしまったと言っておられた。
『このミシン一台で家族を養い子供たちを育てたんだ』と代表は横振りミシンへの愛着を語ってくれた。
多頭式コンピューターミシンの下に積み上げられた箱は刺繍糸。特に色毎に分類して積んであるわけではないそうだが、何処に何色の糸があるのかは直ぐに分かるという。
宮崎さんのお兄さんが、好きなハワイに因んで趣味で作ったトレーナー。よく見ると朝食のメニューになっている。
こちらは宮崎さんが中学生の時に横振りミシンを使ってご自分で作ったという「MOSS HAWAII」と「NOWイ君」。
最後に宮崎代表が取り出して見せてくれたのはTony Lamaのミニ・ウエスタン・ブーツ。柊の葉のステッチが見事だと言う代表のコレクションだが、是非にと言われたのでご紹介する。